記憶と、景色
東京都立川。
読み方はたてかわ?たちかわ?昨日の夜をデリヘル嬢と過ごした(いや呼んでへんで、そもそも呼び方分からんし)その場所が東京のどの辺に位置するのか全く分からないし、もちろん何の馴染みもなく、ただ割と都会の立川で感じたのは、人は誰とも繋がっていないし、人は誰とも分かり合えないとは真逆の、人と人とは確かに繋がっているという確かな感覚。もうひとつ言えることは夜に書いた日記のタイトルを不気味なんにするんやめよう。夜に読んだらこわいねん。
昨日は予感がしてました。君は僕の東京行きに合わせてきっと書いてくれてるやろうと。で、僕はその日の最後に、全部仕事が終わって解放感を味わないながらホテルの部屋でそれを読みたいなぁとぼんやり思ってました。打ち合わせが終わって、飲み会が終わって、電車に乗って移動して、ホテルに23時くらいに着いて。やっと1人になれる!って、ホッとしながら、自分の部屋に上がるエレベーターの中でもう即座にポチっとしてましたよホットランチを。タイトルこわいねんて。え、これいつ読むべきなんやろ?ってちょっと迷うやん。一回部屋に入ったんやけど、なんかこの場所で読む感じちゃうなぁと思って、ソワソワしながら、そうやそうや、ホテルの受付のとこにバルコニーがあって、夜やし、外やし、タバコ吸えるし、缶コーヒーとか飲みながら読めたら素敵やんって読むシチュエーションを変更したんだから。何かを読むためのシチュエーションを選ぶなんて初めてだったよ。この場所でこれを読みたいなんて普段は思わないよね。最後までクスクス笑いながら、サンパチマイク言うのやめて。って1人でつぶやいちゃったよ。何でこのタイミングでコイツは漫才を選択したんや??と疑問やったけど、その疑問も含めて最後まで面白かったです。
このブログはなかなかにヤバイね。遠く離れた場所で、君と僕は全く違う時間を過ごしている。やのに、このホットランチを開いたら距離も時間も飛び越えて、ソワソワさせたり、不気味がらしたり、笑かしたり出来るんやもんね。で、書くほどに、ホットランチの世界が1つずつ交互に積み重なっていく。もう2人っきりの世界が出来つつあるけど、来世は頼むから女子で生まれてきてくれへん?
今日は東京にいるおばあちゃんのお見舞いに行ってきました。階段から転んで骨折したらいんだよね。電車を乗り継いで行ったんだけど、久しぶりに会うおばあちゃんはベットに横になってて、何か弱々しくてね。あと、随分ちっちゃくなったなぁって思って。で、元気?って声かけても反応が薄いんだよね。声のトーンも低くてね。全然元気ないやんって思いながら、「転んだんやろ?」って聞いても「あぁそれは大丈夫。むすめが優しくしてくれるから。」ってね。えらく他人行儀やなって思って、でも途中で、あ、おばあちゃん僕やと分かってないなと気付いてね。ただ、何かいつもと雰囲気違うし、もしや認知症みたいなやつが始まっとんかも、でもそんなん聞いてないけどなぁと思ってね。顔見て僕と認識してないのは、割とショックなんやけど、名を名乗ってそれでも気付いてもらえへんかったらもっとショックやな、どないしようと思って。でもせっかくここまで来たんやしと考え直して恐る恐る、「おばあちゃん。あのぉ僕やで。そのぉカツシゲやで。」って言ってみたんだ。そしたらおばあちゃん一回キョトーンとしてから一瞬間があって、「えぇ!!あんたかいな!?何で!?どうしたん!?」って目をひんむいて、このまま心臓止まってまうんちゃうかコイツと心配するくらいビックリしてました。病院の人かと思ったらしいです。でも良かったです。素直に嬉しかったです。孫が見舞いに来たということを理解してからのおばあちゃんはベットから起きだして、いつも通りでした。杖ついて歩けるようになったと教えてくれたしね。で、子供の写真をたくさん見せたげてね。おばあちゃんにとってはひ孫なんだけど、写真を見る顔が、なんとも言えず、嬉しそうで、優しい顔をするんだよね。その写真を見ながら唐突に、あんたはいい子と結婚したなぁ、あの子はホンマにいい子やで。あんたがおれるのはあの子のおかげやで。感謝やなぁ。ってしみじみ言うんだよね。何か胸にくるものがあってジーンとしちゃいました。1時間ほど喋って帰ったんだ。元気になったら姫路に遊びに行くって。じゃあ帰ってきたらおばあちゃんといつも行ってた喫茶店に行こう、その時は子供も一緒に連れていこうと約束しました。僕はおばあちゃんとのその約束を律儀に守りたいと思うんだ。
ただ、即座に不倫したことは細部に渡って伝えときました。ジャーナリストは事実を正しく伝えるのが使命やからこればかりは仕方がない。テヘペロテヘペロ。
最初のは病院からの帰り道に撮った写真です。もう2度と通るか分からない道やし、見ることはない景色かもしれないけど、でも、もしも、この道を人生のどこかの場面でもう一度通ることがあったとしたら。この景色を見て思い出すのはきっと、今日の日と僕に気づいてビックリしたおばあちゃんの顔なんだろう。